スペインギター振興会 セファルディ【】

②ギターの材質とサイズ

読者の目の前に、米、酢、魚、タクアン、胡瓜、干ぴょう、海苔が並べられて、これが寿司ですと言われたら、ギョっとしませんか? 仮に、それらが新鮮な極上のネタだとしても、調理前なのですから、それらは寿司の食材の箇条書き説明になってはいても、それを巧みに調理して、ネタ同様、極上の寿司になるかどうかは全く別次元の問題なのです。

 

近年、スペインのみならず、ヨーロッパ各国には華僑経営の日本料理屋が目立ちます。具材はともかく、何より酢加減が滅茶苦茶で、とても寿司の味がしません。仮に、最高のネタ、日本の醤油やわさびを使っているとしてもです。ギターにも同様のことは起こり得ます。

 

ギター各部分の材質説明自体も食材一覧表みたいなもので、これらの良い木材のネタを揃えることと、それを美味しい寿司やギターに仕上げることは、ある意味、全く無関係だとさえ言えます。寿司を食べる人はコシヒカリの米粒を食べるのではなく、料理としての寿司を食べるのでしょう。

 

同様に、次に列挙する各部分の木材自体の優劣や原価ではなく、その木材故に出来上がったギター、そして、特に、スペインギターの音色の観点から、以下10項目をお読み下さい。

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表面板について

手工ギターの場合、ドイツ松(Sp:abeto alemán✿英:german spruce)とカナダ杉(通称‟“,Sp:cedro✿英:cedar)が主流。前者の方が良質と言う職人が多く、現に、原価も随分違いますが、ベルナベフレタなど、カナダ杉を好む世界的名工もいますので、製作家との相性もあり、ギターが出来上がってみれば、一概にどちらが良いとは言えない面があります。

 

もっとも、一概には、表面板がのギターは最初から鳴り、のギターは最初は鳴らないが、弾き込む程に、音量音質を増して来ると言われています。それ故、高級ギターの表面板はやはりドイツ松とも、一概に信じられている様です。

 

私の師匠、故マヌエル・カーノ先生の息子ホセ・マヌエル・カーノが現在コンサートに使用している先生の遺品2本は、表面板がそれぞれドイツ松。両方共、凄い音量に音質です。一概には言えません。また、ギターコレクターとしても有名だった、晩年のマヌエル・カーノ先生は、表面板のギターを結構購入していました。”わしには時間がない“。こう言う選択理由もありだと言うことです。

 

また、YouTubeで国内外の著名なギタリストの動画を見ると、その使用ギターの表面板のドイツ松の割合は大体6:4で、意外とを選ぶ奏者も多いことが分かります。

 

何れにせよ、音の即効性で将来性でと一概に言ってもいいでしょう(以上手工ギター)。

 

普及モデル(量産ギター)に高価なドイツ松は使われず(一部高級モデルを除く)、より安価なが使用されます。ですから、普及モデル(セファルディではギター料金一覧表&ギター全商品一覧の198,000円以下のギター)の場合、この表面板orの区別は余り気にせず、好みの音色で選べば宜しいでしょう。

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側面板&裏板について

あたかも、クラシックギターハカランダローズフラメンコギター糸杉(シプレス)で作る規則があるかの如く、現在、世界のギターの使用木材はこれら3つが圧倒的主流です()。

 

実は、スペインでは二昔前まで、多種多様な木材でギターが作られていました。セファルディは既成概念に捕らわれることなく、様々な材質のスペインギターを復活紹介して行きます(&10)。

 

さて、”このギターは何の木のギターか?“と言う時、この側面板裏板の使用木材を指します。例えば、表面板ドイツ松で、側面板裏板ローズのギターであれば、それはドイツ松のギターではなく、ローズのギターだと言うことです。以下列挙します。

 

ハカランダ (別名中南米ローズ,Sp:palosanto de Río✿英:brasilian rosewood)

 

おそらく、世界で一番良く響くこの木はスペイン語でpalosanto(聖木)と呼ばれ、様々な高級木製楽器に使われます。ブラジル・アマゾン川支流ハカランダ川流域に生息するため、こう呼ばれますが(↑Ríoは川,スペイン語訳はハカランダ川の聖木)、伐採過多故に、ワシントン条約で絶滅種に指定されており、近い将来、この木のギターは高騰欠如必至です。クラシック&フラメンコギターに使用。

 

なお、近年、日本やスペインだけではなく、世界中のギター業界で、このハカランダと言う名称が消え、代わりに中南米ローズと記述される様になりました。早い話が、で述べる様に、広い意味で中南米のローズウッドの一種には違いない、ご禁制のこのハカランダをこう呼ぶことにより、当局との摩擦を避けている訳です。

 

セファルディでは、名工・故ベルンド・マルティンの最高級手工品を普通サイズ弦長650mmタレガモデル弦長640mmでご紹介しています。

 

ローズウッド(通称ローズ,Sp:palosanto de India✿英:indian rosewood)

 

同じくpalosantoですが、インド産。即ち、インド産ローズウッドローズブラジル産ローズウッドハカランダ(中南米ローズ)です。同じ科の木ですが、木目や木質が少し違います。音量音質の実力比は『10(ハカランダ)>9.5(ローズ)』位でしょうか。クラシック&フラメンコギターに使用。

 

但し、表面板の項で述べた様に、表面板の素材としては『ドイツ松』でも、製作家によってギターの出来が逆転する様に、側面板裏板でも『ハカランダローズ』と、ギターの出来映えの逆転現象は大いにあり得ます。例えば、私が今まで弾いた総てのクラシックギターで最高だと思ったのは、フレタ作の側面板裏板ローズ表面板。先輩の吉川二郎氏がコンサートや録音に使用する愛器はアントニオ・デ・トーレスのひ孫作で、側面板裏板ローズ表面板ドイツ松。そして、スペイン人フラメンコギタリスト、ラファエル・リケーニ氏がステージで使っていたギターを以前見せてもらいましたが、これも側面板裏板ローズ表面板ドイツ松でした。

 

今日、ハカランダ(中南米ローズ)の高騰故に、却って付加価値を付けて高く売ろうとする傾向が見られます。安易にハカランダの名前だけで判断したり、宣伝文句に踊らされないで、ローズでもプロを納得させるこの3例の如く、ハカランダを凌ぐギターは大いにあり得ますので、捜してみる価値はあります。名より実を取ることを心がけて下さい。実際、ローズを使っているプロは多いです。

 

最高のネタで素人が握った寿司より、必ずしも高価ではないネタで寿司職人の握った寿司の方が旨いことにも例えられます。使用木材(ネタ)の良し悪しより、ギター(料理)の出来映え(味&音色)で評価することが肝心です。

 

名工のハカランダのギターにもハズレはあります。勿論、これはハカランダローズだけではなく、総ての木材において言えることです。そして、それを実践して見せたのが、木材が乏しかった時代に数々の名器を造った近代スペインギターの開祖アントニオ・デ・トーレスです。

 

セファルディでは、若き名工フランシスコ・ムニョス(2018年国際ギター製作コンクール・アントニオ・マリン・モンテロ杯受賞)クラシックギターフラメンコギター(ローズドイツ松/杉)をお奨めします。とんでもない音量と音質です。

 

糸杉(シプレス,Sp:ciprés✿英:cypress)

 

ハカランダ(中南米ローズ)やローズが大砲とすれば、ヨーロッパ、中近東に多いこの糸杉はマシンガンに例えられます。カラッとした芯のある太い音で、フラメンコギターの定番木材です。

 

日本では”シープレス”と長母音表記ですが、実際は短母音で、”レ”にアクセントを置いて、”シプ”が正しい発音です。私はスペイン学科出身ですので、スペインギターだけではなく、スペインギターにまつわるスペイン語にも拘ります。

 

なお、糸杉材ではフラメンコギターしか作ってはいけないとの規則はありません。事実、故ベルンド・マルティン氏はヨーロッパの顧客向けに”糸杉のクラシックギター”を製作していました。セファルディでも糸杉のクラシックギターを紹介しています。

 

虎目かえで(Sp:arce rizado✿英:maple) スペインの白いギター

 

何世紀も前からバイオリン、チェロの本体に使われるこの木材で、何故ギターが作られないのか不思議な位ですが、YouTubeでも、たまにこの材質のクラシックギター(0:18より虎目かえで側面板が良く見える)&フラメンコギターを見かけます。

 

そこで、この虎目かえで材のギターを日本に普及させるべく、プルデンシオ・サエス社の協力を得て、スペインの白いギターと命名したこの木材のクラシックギター(146‐s)&フラメンコギター(ARF)を、各々、650㎜と630㎜の両弦長でご紹介します。各品番をclick願います。セファルディが最も力を注いでいるスペイン製普及モデルです。

 

手工品では、若き名工フランシスコ・ムニョスが氏の虎目かえでで仕上げた渾身のクラシックギターをお届けします。ハカランダのギターにも劣らない音量音質です。

 

くるみ(Sp:nogal✿英:walnut)          

 

ヨーロッパではリュートなど、古楽器製作に使われて来たくるみは、合板が存在しなかった頃のスペインの大衆ギターの素材として、盛んに用いられました。20世紀最高のクラシックギタリスト、スペインのアンドレス・セゴビアは修行時代ギターさえなく、グラナダのサクロモンテの丘のジプシーに借りたくるみギターで練習していたそうです。

 

くるみギターはスペイン独特のギターです。しかも、安い合板の台頭で使われなくなっている現在、スペイン国内でさえ希少価値のあるギターなのです。クラシック&フラメンコギタに使用。

 

それ故、セファルディくるみギターの復活と日本への普及にも力を注ぎます。まずは、お手頃な量産くるみギターをお試し下さい。そして、アンドレス・セゴビアのグラナダ市での常宿、ホテル・アルハンブラ・パレスの一室でこの話を直接聞いた、故フアン・ロマン・パディージャの晩年の力作、くるみ手工クラシックギターをご紹介します。

 

アフリカ糸杉(Sp:ciprés africano✿英語?)

 

フラメンコギター木材の定番であるのスペイン産糸杉(シプレス)ではなく、その木質の似通っているが故に、スペインの大工の世界で通称アフリカ糸杉と呼ばれる木材。

 

幼少期より大工の父と共に、ありとあらゆる木材に親しんで来たフランシスコ・サンチェス氏は、これでギターが作れないはずがないとの確信の元、2010年、世界初のアフリカ糸杉フラメンコギターの製作に着手。糸杉とはまた違った、乾いた軽快な音質でフラメンコギターに新境地を開きます。

 

なお、フランシスコ・サンチェス氏は私と同年で、セファルディの良き理解者でもあります。

 

アベバイ(Sp:abebay✿英語?)    

 

マホガニ科のアフリカ産木材。同じくフランシスコ・サンチェス氏が乾いた音色のクラシックギターを目指して製作しています。

 

清涼感と言う、新しいクラシックギターの概念に挑戦する一振りです。

 

モンゴイ(Sp:mongoy✿英語 ?) 

 

アフリカ産の木材。スペインでは通常家具作りに使われますが、私はフアン・ロマン・パディージャ氏()の極上の一本を所有しています。少なくともこの一本に関しては、ハカランダのギターと遜色ありません。

 

ある日、故ベルンド・マルティン氏が自宅に遊びに来た際、このギターを試奏し、いたく気に入り、この時、表面板に少しキズを残して行ってくれたことは、今となってはいい思い出です。

 

パディージャ氏によれば、二昔前のスペインでは、このモンゴイでギターが盛んに作られていたそうです。そして、2010年年明けに、名工・故アントニオ・ラジャ・パルドの手工品が完成しました。弦長650mm&645mm(トーレスモデル)。

 

サペリ(Sp:sapelly✿英:sapele)

 

スペインにおける合板ギターの定番木材。セファルディでは最も安いモデル4A&4AFに使用しています。近い将来、昔は良く作られていたサぺリ単板ギターを復活させる予定です。

 

その他、二昔前のスペインでは、マホガ二プラタナスなど、様々な木材のギターが存在しました。

ハカランダローズは横綱の貫禄。糸杉はスペインの乾いた風。清涼感の虎目かえで。軽さに味のあるくるみ・・・。あれがこれに勝ると言うのではなく、それぞれ違った音色なのです。 

以上、硬くて十分乾いた木材なら、何でも楽器製作は可能だと言えます。そして、二昔前までスペインでは実際これらの木(9)でギターが作られて来ました。それが、現在、商業主義の影響で、使用木材がに集中してしまっているのです。セファルディでは、今後も、様々な材質のスペインギターを復活発掘し、日本に紹介して行きます。

 

10 黒檀(Sp:ébano✿英:ebony)

 

おそらく、水に沈む唯一の木であろう黒檀は比重が重いだけではなく、極めて硬く、(側面板を)曲げ難く、まず、黒檀のクラシックギターを作ってみようと言う発想自体が通常の製作家には思い浮かびません(歴史上、探せば、誰かいたのでしょうが)。

 

また、知り合いの日本人アマチュア製作家によれば、2024年現在、指板用の黒檀を注文しても、高価な割に、品質が良くない、つまり、世界的に品不足で高価です。

 

しかし、私がグラナダ在住時分のデビューの頃から注目していた、フランシスコ・ムニョス氏は、その約10年後、何と、総黒檀製クラシックギター(表:ドイツ松)を2018年国際ギター製作コンクール・アントニオ・マリン・モンテロ杯に出品し、複数の有名ギタリストの手によって奏でられた結果、名工アントニオ・マリン・モンテロの眼前で優勝しました。ムニョス氏は、これを心の師アントニオ・マリン・モンテロ氏への尊敬の念を込め(実際は師弟関係なし)、Homenaje(オメナッヘ:敬愛)と命名。セファルディでは、この総黒檀製Homenaje(オメナッヘ)モデル[品番FAE]をご紹介しています。

 

因みに、ムニョス氏は、既に、今治の当店を2度訪れています。宿泊は今治球場横の店長の家。歴史的円安が終われば、また、招聘する予定です。知り合った頃は20代だった氏も、既に、40代後半。時の流れとは凄まじいものです。

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以上、表面板、及び、側面板&裏板の木材を見て来ましたが、例えば、ボディーは全く同じでも、表面板かで音質は違って来ます。また、ボディーも薄目なら乾いた音、厚目なら重厚な音のギターになるはずですが、故マヌエル・カーノ先生の愛器エンリケ・コントレラスのボディーはクラシックギターの如く分厚く、フラメンコギター独特の乾いた音色で、私がフアン・ロマン・パディージャ氏に作ってもらったローズの極薄ギターはかなり甘い音質です。この様に、出来上がってみればセオリー通りの音色ではない場合も多々あります。

 

それ故、単に、木材やサイズだけでギターの出来を論ずることは軽率でさえあり得ます。冒頭に述べた様に、料理は食材の良し悪しではなく、出来上がった料理です。同様に、ギターは使用木材の一般論ではなく、最後は、目の前の完成品のギターの音色で判断して下さい。

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指板について

手工ギター指板は、まず、黒檀(こくたん)だと思って宜しいでしょう。

 

おそらく、世界で一番重いこの木は、何と、水に沈みます。私も、指板が黒檀のギターと、他の安い木材の指板のギターを弾き比べてみましたが、どうやら、指板は比重の重い木の方が音も引き締まる感じがします。つまり、黒檀が最適であると言えます。

 

黒檀以外では、上でご紹介したインド産ローズウッド(通称ローズ)が、比較的安い普及モデル(量産ギター)の指板に使われます。その他、二昔前は色々な木材が指板に使われたそうです。

 

因みに、私は指板ローズラミレスⅡ世のフラメンコギター(1932年,糸杉)を持っています。21世紀とは違い、ラミレスがまだ自分でギターを作っていた頃の作品ですから(現在、高価なギターは影武者作&安価なものはラベル以外100%中国製)、これは滅茶苦茶鳴ります。

 

なお、若き名工フランシスコ・ムニョス(2018年国際ギター製作コンクール・アントニオ・マリン・モンテロ杯受賞)の受賞ギターは総黒檀製(側面・裏板&ドイツ松)でした。セファルディでは、このHomenaje(オメナッヘ)モデル[品番FAE]をご紹介しています。

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ネックについて

単に”“と表記されることの多いネック材ですが、オンドゥーラス(ホンジュラス)など中米産の杉のことで、前述の表面板に使われるカナダ産の杉とは全く別の杉です。現在、安価な普及モデルにはアフリカマホガニ(Sp:samanguila)なども使われています。

 

側面板&裏板のローズウッドの項で引用したフレタの名器は、一音一音が濃密で、今まで私が弾いた最高のクラシックギターでしたが、ネックは反っていました!? また、私は数十年前の古いスペイン製量産ギター(くるみ)を持っていますが、相当安い大衆ギターだったと見え、表面板内部には力木さえなく、ネックも指板も訳の分からない安い木が使用してありますが、ネックは反っておらず、指板も21世紀の今に至るまで真っ直ぐです。

 

従って、高価な木材を使用した名工の名器だから反らない、安物だから反り易いとは一概には言えないのがネックです。何れにせよ、手の小さな日本人には薄目のネックが適しています。

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サウンドホールのモザイク

これは正確には材質ではなく装飾ですが、まず、元来、モザイクとは、十戒で有名なモーセの英語の形容詞モザイック(mosaic)です。つまり、モーセの様なと訳せます。そして、実は、モーセは十戒以外にも、事細かい様々な戒めを残しました。そこで、このモザイク(Sp:mosaico,モサイコ)には、モーセの戒めの如く、細かい、厚かましいと言う意味さえあります。

 

そこで、読者もご自分のギターのサウンドホールの模様を良くご覧下さい。実は、非常に細かい木の粒の寄せ集め、寄せ木細工であることが分かります(が、そうではないものも有り)。

 

手工ギターモザイクは手作りですが、普及モデルは出来合いのモザイクの輪ッカをはめるだけ。見分け方は、もし、完璧にビシッと詰まったモザイクであれば、それは機械製の出来合いの輪ッカの印です。逆に、手作りであれば、必ず、不揃い不一致な個所があるものです。

 

もっとも、サウンドホールの装飾はモザイクでなければならない規則はありません。貝や軽金属を埋め込んだ手の込んだものもあります。製作家によって、独自に工夫する余地はあるでしょう。

 

今日、日本に輸入されている高級手工ギター高級手工ギターと称されているスペインギターのサウンドホールのモザイク中には、出来合いの輪ッカ(しかも日本製!?)をはめ込んだものが相当数に上ることは残念です。手工なら最後まで手工であるべきです。

 

ファン・ロマン・パディージャ氏のこの手作りのバラのモザイクは見事です。

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ハカランダ(中南米ローズ)信仰の功罪

特に、日本のクラシックギター界にはハカランダ至上主義なるものが存在し、他の木材はハカランダの引き立て役に甘んじるのが、その使命の如くさえ感じられます。また、これは楽器店がハカランダのギターを高く売るために築き上げて来た、必ずしも、楽器としての現実と価格が常に一致するとは限らない、商業的イメージだとも言えます(が、確かに、ハカランダのギターの仕入れ値が一番高いので、市価も一番高くなります)。

 

実際、現在、ワシントン条約で伐採禁止のハカランダ材が原価も一番高く、音量音質共に郡を抜いているのですが、それはあくまで素材としての客観的な評価であり、完成したギターにおいては、必ずしもこの原則通りとは限りません。冒頭で述べた食材と料理の関係と同じです。

 

或いは、それはまた、”ボクシングはやっぱりド迫力のヘビー級が一番“と盲目的に言い張る様なものかも知れません。

 

確かに、世界ヘビー級チャンピオンの方が世界ライト級チャンピオンより、パンチ力、ファイトマネー、視聴率は上ですが、ファイトマネー、視聴率、そして、観客動員力、ボクサーとしての評価も、世界ライト級チャンピオンの方が世界ヘビー級20位に遥かに勝ります。確かに、単にパンチ力測定器の数値だけなら、前者は後者に遥かに劣りますが、誰がどう見ても、確かに、前者の方が視聴率もゼニも取れる、遥かに優れたボクサーです。

 

同様に、破壊力なら大砲ですが、機動性ならマシンガンです。スタミナなら肉うどんですが、ざるそばは清涼感で勝負します。それぞれにそれぞれの許容量に応じた良さがあるのです。それはボクシングの様々な階級にはそれぞれの醍醐味があり、誰のパンチが一番強いかではなく、ボクサーとしての総合評価が問われる様に、上に紹介した様々な木材のギターもまた、どの木材のギターが一番良いギターかと言う問題ではなく、それぞれの良さがあり、好みの問題なのです。ただ、単純に素材の良さなら、ハカランダが最高だと言う点に誰も異論はないでしょう。

 

もっとも、私の経験では、名工のハカランダのギターにも、パンチ力はあってもパンチに切れと華がない、客の呼べない世界ヘビー級20位みたいなハズレはあります。単に、パンチ力測定器の数値か、ボクサーとしての総合評価か。同様に、ハカランダのギターに使ってあるハカランダと言う素材の価値か、そのハカランダのギターの音色か。聞き流すと同じ様に響くかも知れませんが、両者は全く別次元の問題であることに気付いて下さい。これは他の木材とそのギターについても同様です。

 

ハカランダ信仰はいつもご利益があるとは限りません。他の木材のギターでも、ハカランダ製ギターに勝るギターはたくさんあります。ハカランダ以外のギターにも関心を持ってみて下さい。そうすればハカランダの凄さも、外れた時の虚しさも、体験として身に沁みるはずです。

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ハカランダ(中南米ローズ)以外の勧め

女性のハンドバッグとギターは多い方が楽しいものです。弾き慣れた曲も、音色の違ったギターで弾けば、新境地が見出せ、演奏にも幅が出て来ます。今日はベンツで高速道路をぶっ飛ばし、明日は脇道をファミリーワゴンで走るのもまた一興です。

 

また、複数のギターを弾くことによって、段々と違いが分かる耳が養われます。

 

セファルディでは、ハカランダ(中南米ローズ)以外にも、様々な独特の木材のスペインギターを順次紹介して行きます。初心者の方に、そして、気軽に弾ける2台目、3台目として、是非お勧めします。

 

以上は、単に宣伝文句ではなく、総て私の個人的な経験に基づいてのことです。それが証拠に、以下、私が今まで収集した様々な木材のスペインギターを列挙してみます。

 

ハカランダローズシプレス(糸杉)、赤糸杉くるみカラコリージョサビーナかえで(無地)、虎目かえでマホガニにせマホガニゼブラ材プラタナスモンゴイ樫の木黒檀など40本以上。次はサンゴ材チェリーの木の予定です。

 

師匠、故マヌエル・カーノ先生のギター収集病が移ったものです。先生は本当に病気でした。

 

皆さんもご一緒にどうぞ。まずはセファルディの看板“スペインの白いギター(クラシック&フラメンコ)をお試し下さい。

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ギターの塗装

ギターの材質のページに塗装の説明は一見場違いであり、また、今までの様々な木材の説明に比べれば塗装など最後の見映えに過ぎないではないかと、多くの人は重要視しないことでしょう。

 

しかし!! 現実は、”せっかくの秀作ギターも、塗装次第で音はかなり左右される“こともまた、多くの人の予想に反して、圧倒的な事実です。重要視して下さい。詳しくは”塗装の違い:セラック塗りかピストル吹き付けか“をご覧下さい。

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ギターのサイズ・大きさ

誰でも自分の手に合ったギターが理想ですが、逆説的発想で、弾き難いサイズのギターの観点より、この問題を考えてみましょう。

 

私自身、スペイン初年度の1979年、最初のスペイン製手工ギターを買いました。非常に良く鳴っていたので、殆ど衝動買いでしたが、すぐに後悔する羽目になりました。ネックの幅が広過ぎて、弾き難く、手がすぐに疲れてしまうのです。もう少しネックの幅の細いのにすれば良かったと、つくづく思ったものでしたが、その同じギターが、現在は全く手に馴染んでいます。実際、ネックの幅を測ってみれば、全く普通サイズ(最上部 52mm&12フレット部62mm)で、当初、私自身が未熟な故に、ネックの幅が広過ぎて、私には大きなギターだと勝手に確信しただけだったのです。

 

また、ある時、明らかにネックの薄いギターを手にする機会がありました。余りの弾き易さに驚いたのですが、更に驚いたのは、ネックの幅を測ってみると、普通より4mmも幅広く(最上部56←52mm&12フレット部66←62mm)、弦長も660mmと長目でした。

 

それから数年後、ある日本人が、買ったばかりのフラメンコギターを持って、私が主催するグラナダ市の日本語情報センターにやって来ました。バカでかい音量余りの左手の押え易さに驚きましたが、商売柄、すぐに指板の幅を測ってみると、最上部50mm&12フレット部60mm!! 普通サイズより2mmも狭い!! 押え易いはずだと思いましたが、次いで計った弦長は、何と665mmの特大サイズ!! 一瞬考え込みましたが、結局、故意に弦長を長くして、音量を追求し、弾き難くなったその分を、指板の幅を2mm狭め、ネックを薄くすることでカバーした、良く考えられたギターでした。指板とネックがすっきりしていれば、弦長665mmでも気にならないものだと思い知らされました。

 

従って、初級者は元より、多くのギター奏者は、左手が押え難い、或は、指が届かないと、ネックの幅が広過ぎる、弦長が長過ぎると直感的に思い込んでしまうが、実際はネックの太さのせいであると言えるでしょう。そこで、私なりの結論ですが・・・。

 

左手が押え難いギターの一番の原因はギターのサイズではなく、指の長さでもなく、弾き手の未熟さ故にそう感じるだけである。それが証拠に、YouTube上で、有望な小中学生達は大人用ギターを難なく弾きこなしていますし、手の小さな女性でもプロはいます。

 

残りがサイズの問題だとすれば、一番の原因はネックが太過ぎることで、以下、弦高が高い(と弦張力が強くなる)指板の幅が広い弦長が長いなど、弾き難いサイズのギターの理由が挙げられます。

 

それでは、指板の幅を狭くすればいいと言うのはイージー過ぎます。余りに指板の幅が狭いと、弦を抑える際、左手指の腹が隣の弦に当り易く、従って、雑音が出易く(、これを防ぐために左指を相当垂直に押さえなければならず)、極めて不自由だからです。やはり、一定の指板の幅は必要です。

 

つまり、上達すれば、少々のギターの大小は関係なくなると言えますが、やはり、初心者は悪い癖が付かない様に、自分の手に合った弾き易いサイズを選ぶべきでしょう。

 

セファルディでは、日本人の手のサイズを考えた、特に、ネックが薄めの弾き易いスペインギタを用意しています。左手を一杯広げた時の”人差し指”と”小指”の先端の距離(14~16cm,etc)をお知らせ下さい(次項参照)。アドバイス致します。

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ギターのサイズ選択の目安

弦長 650~655~660mm 大人用普通サイズ

 

 左手を一杯広げて人差し指と小指の先端の距離が16cm以上の人

 

弦長 630~645mm        女性&手の小さい人&子供用サイズ

 

 左手を一杯広げて人差し指と小指の先端の距離が16cm以下の人

 

指板の幅 0フレット部52mm &12フレット部62mmが標準サイズ

 

ネックの太さ やや薄めの方が弾き易い  

 

弦高  力みながら弦を押さえる悪い癖が付くより、特に、初心者の内は、少々雑音が出ても、弦高はやや低めの方が望ましい。ライトテンション弦(GR35&GR55)を張るなど、工夫してみましょう。 

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初心者が指板の幅の狭いギターを弾き易いと感じるのは当然です。また、アクスティックギター出身者クラシックフラメンコギターを初めて手にすると、指板が広過ぎると感じるでしょう。

 

しかし、クラシックフラメンコギターはピックを使うフォークギターと違って、右手指先が直接弦と弦の間に入る必要があり、左手も、余り弦の間が狭いと、指の腹が隣の弦に当って雑音が出ます。従って、一定の指板の幅は必要です。一概に、サイズの小さなギターが弾き易いとは言えません。

 

左手を一杯広げた時の”人差し指”と”小指”の先端の距離(14~16cm,etc)をお知らせ下さい。アドバイス致します。

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