これらのページに収められた原文と挿絵はフラメンコ芸術を二つの概念で形成し互いに補うものである。
詩人フアン・アントニオ・イバニェスと画家ダビィ・サアフラは芸術的とも言うべき嘆きの感情表現ケヒーオ(quejio)を思い起こさせてくれる二重の観点において、ホンド(深さ)の本質を現実化。フラメンコに対する愛を、詩節を通し更に力強く表現することが出来ないかとの問いかけに、“周期的に/繰り返すリズムの/香りを収めに私はやって来た。/叫びを呼び起こすまで苦しみ抜いた産みの音”。これが意味するものは魔力のフラメンコであり、またこれを画家が総ての挿絵において明確に具体化したのも美徳である。「悲しみよ、さようなら」一つ一つに作家はその在り方の力強さと内面を表現している。
従って、ここに我々は感情、エッセンス、そして、フラメンコの造形に満ちたこの一冊に出会うに至る。叙情的かつ絵画的敬意を名高いフラメンコアーティスト達に、ギターに、鉱山のカンテに、開放的な土地柄に、そして、ロルカに捧げる。
日本語訳はグラナダ在住の詩人植田苗水(うえたなえみ)が原文に忠実かつ厳密にフラメンコのフラメンコたる所以を再現したものである。
以上解説文より抜粋